2017年12月20日水曜日

先日、今年最後の進捗報告会を行いました。





 10月に当研究室に配属された三年生の下川さんも参加し、総勢9名でディスカッションを行いました。
 この日は寒い一日でしたが、熱い議論がなされました。
 直近の研究内容について触れるのに加え、今年の研究内容を振り返りつつ、来年どのように研究を進めていくのかを改めて考える良い機会になりました。
 来年の研究活動にも気合が入ります!


 以前のブログで進捗報告会のお弁当について触れましたが(6月20日の記事)、この日の人気ナンバー1メニューは「鶏の甘酢あんかけ弁当」でした。


 今年のブログ更新は、これで最後となります。
 
みなさま、よいお年をお迎えください。

2017年12月12日火曜日

学部4年生の藤澤さんが卒業論文の執筆を開始しました

 12月に入り寒い日が続いています。今朝は吹雪になるほどの風と雪で講義に向かうのも少し億劫に感じました。

今年二度目の雪が降った石川県立大学正面

 研究室では学部4年生の藤澤さんが卒業論文の執筆を開始しています。藤澤さんに「卒業論文の執筆はどうですか?」と聞いたところ「学生実験で書いていたレポートより体裁を整えるのが大変です。期日までに書き終えられるか今から心配ですが、頑張りたいです。」というコメントをいただいました。

卒業論文を執筆する藤澤さん


 藤澤さんが卒業論文を執筆している姿を見ていると去年の自分のことを思い出して、1年があっという間だったなと思わされます。私も来年の修士論文執筆に向けてどんどん実験を行いたいと思います。

【前田】


2017年12月5日火曜日

ポリアミン学会の学会誌に修士1年生・太田の執筆した記事が掲載されました。

 11月29日に日本ポリアミン学会 学会誌「ポリアミン」の第4巻2号が発行されました。
 この学会誌は2014年の4月に発行が始まって以来、半年に一度のペースで発行されていて、国内の最新のポリアミン研究やポリアミンに関する学会の体験記について日本語で分かりやすく書かれています。

私の名前が載っている学会誌の表紙



 今回の学会誌には私の「ゴードン会議参加記」と「最新の論文紹介」の2つの記事を掲載して頂きました。
 ゴードン会議参加記は今年6月にアメリカのニューハンプシャー州で開催されたゴードン会議(ポリアミン)に参加した私と関西学院大学の石井友理さんの体験について書かれています。私はこの記事を書きながら当時の体験を振り返り、本当に良い経験をしたとしみじみ感じました。

私のゴードン会議参加記の一部


 「最新の論文紹介」には、キイロショウジョウバエにおけるスペルミジンの経口摂取が加齢による記憶障害を抑制する論文について、日本語で要約した記事を掲載して頂きました。この件は9月に行われた東京慈恵会医科大学 学外共同シンポジウム 「第16回 ポリアミンと核酸の共進化」で、アミンファーマ研究所の植村武史先生からお話を頂き、学生としてまたとない機会だと思い、記事を掲載して頂くことになりました。実際に論文を読んで、指定された文字数内に文章をまとめることは非常に難しく、何度も論文を見直し、文章を練り直しました。

 今回、学会誌に2つもの記事を掲載して頂き、貴重な経験をさせて頂きました。学会誌の中では、この他にもポリアミンについての幅広い知識を得ることができます。このブログで興味を持たれた方は、ぜひ日本ポリアミン学会のホームページをのぞいてみて下さい!

日本ポリアミン学会のホームページ(今年10月にホームページがリニューアルされました!)


【太田】

2017年11月28日火曜日

ヒト腸内常在菌叢における優勢種の多くが新規ポリアミン合成系及び新規ポリアミン輸送系を有している可能性があることを示した論文がThe International Journal of Biochemistry & Cell Biologyにアクセプトされました。

 研究員の杉山友太さんによる論文「Comprehensive analysis of polyamine transport and biosynthesis in the dominant human gut bacteria: Potential presence of novel polyamine metabolism and transport genes.」が学術雑誌The International Journal of Biochemistry & Cell Biologyにアクセプトされ(専門家による覆面審査の結果、掲載が許可されること)ました。

 この論文は、平成28年度修士課程卒業生の奈良さんが中心となって実験し、新潟大学の奥田修二郎先生のご協力を得て、研究員の杉山さんが執筆したものです。

 腸内細菌共生機構学講座では「宿主が産生し腸内細菌の生理機能に影響を与える化合物」および「腸内細菌が産生し宿主の生理機能に影響を与える化合物」について研究しています。(本講座では、このような化合物のことを「シンビオジェニック因子」と呼んでいます。)私たちはシンビオジェニック因子の一つとしてポリアミンに注目しています。
 今回の論文では、ヒト腸内常在菌叢における優勢種の多くが新規ポリアミン合成系及び新規ポリアミン輸送系を有している可能性があることを報告しました。


杉山さんの論文受理を祝して撮影した集合写真

 論文のアクセプト、おめでとうございます!

【平野】





2017年11月22日水曜日

2017年11月10日-11日 第10回北陸バイオシンポジウムに参加しました~2日目編~

 先週に引き続きまして2017年11月10日、11日に富山県で開催された第10回北陸バイオシンポジウムの様子をお伝えします。
 2日目(11月11日)は、7時に起床して朝食をいただき、前日ポスター発表を行った会場で口頭発表を聞きました。
 口頭発表の終了後にはポスター賞の発表が行われました。ポスター賞には全56演題の中から、会場の参加者の投票によって、3件の最優秀賞と6件の優秀賞が選ばれました(最優秀賞は1件のみに与えられる予定でしたが、得票数が同数だったため3件に与えられたそうです。))。腸内細菌共生機構学からは研究員の杉山さんが最優秀賞を、私は優秀賞を受賞することができました。修士卒業生である奈良さんが第8回第9回の北陸バイオシンポジウムの2年連続でポスター最優秀賞を受賞しており、腸内細菌共生機構学としてその記録を引き継ぐことができてとてもうれしいです。

浅野先生から最優秀賞の賞状を受け取る杉山さん


浅野先生から優秀賞の賞状を受け取る私

 帰りには皆で栗原先生おすすめのインド・パキスタン料理店「ホット・スプーン」でお昼を食べました。私は本格的なインドカレーを食べるのが初めてだったので、こんなにスパイスが効いていておいしいものなのかと感動しました。ちなみに栗原先生は2カ月に一回くらいの頻度で車で1時間30分かけてこのお店に家族で食べに来られることもあるそうです。


インドカレー店「ホット・スプーン」のベジタブルカレー



 来年は第11回北陸バイオシンポジウムを石川県の山中温泉で石川県主催で開催します。もちろん今年このブログを担当している私たち3人(太田・平野・前田)もお手伝いとして参加する予定です。皆様のご参加を心よりお待ちしております。


第11回の北陸バイオシンポジウムの案内を行う栗原先生


【前田】

2017年11月14日火曜日

2017年11月10日-11日 第10回北陸合同バイオシンポジウムに参加しました。~1日目編~

 2017年11月10日、11日に富山県で第10回北陸合同バイオシンポジウム(以下シンポジウム)が開催されました。このシンポジウムは北陸のバイオに関する研究者が集い、ざっくばらんに語り合う会として毎年北陸三県が持ち回りで開催しています。今回、腸内細菌共生機構学講座からは阪中先生が口頭発表を行い、他の参加者全員(栗原先生、杉山さん、太田、平野さん、前田さん、藤澤さん)はポスター発表を行いました。

 1日目(11月10日)は、初めは富山県立大学で口頭発表が行われ、夕方からは会場をいこいの村 磯波風(いそっぷ)に移し、ポスター発表等を行いました。富山県立大学は石川県立大学よりも多くの学科が設置されているため敷地が想像よりも広く、大学に到着した私たちは会場で少し迷ってしまいました。

富山県立大学のキャンパスの様子と共生研グループ


 富山県立大学での口頭発表は大講義室で行われ、広い会場で様々な研究についてディスカッションが行われました。口頭発表後は会場を移し、夕食を頂きました。

いこいの村 磯波風での夕食


夕食後はポスターブリーフィングが行われ、一人1分間でポスター発表の内容の紹介を行いました。ポスターブリーフィングは北陸バイオシンポジウムでは初めての試みで、全員のポスター発表の内容を知ることができました。本番のポスター発表では、専門外の先生方や学生に自分の研究を伝えることが非常に難しく感じ、同時に自分の勉強不足を痛感しました。前田君と藤澤君は途切れることなく参加者の方々にポスターの説明をしていました。その時を振り返った前田君は「発表は楽しく、自分の研究に興味を持って頂ける参加者が多くて嬉しかった」と言っていました。
 ポスター発表の後は総合討論会を称した飲み会が行われ、美味しい日本酒やビールを飲みながらディスカッションが行われました。毎年恒例の日本酒対決も行われ、今年は北陸三県に加えて新潟と東京の日本酒も登場し、更なる盛り上がりを見せました。私は日付が変わる頃に部屋に戻りましたが、前田君によると飲み会は深夜3時頃まで続いたそうです。
二日目編は来週に続きます!

【太田】

2017年11月7日火曜日

第10回北陸合同シンポジウムに向けて準備を行っています。

 第10回北陸合同シンポジウムに向けて準備を行っています。
 このシンポジウムは、第8回は山中温泉(石川県)、第9回はあわら温泉(福井県)と、毎年場所を変えながら北陸地方で開催されている泊まり込みの研究集会です。
 第10回目となる今年のシンポジウムは、11月10日と11月11日の2日間にかけて富山県立大学と、富山市婦中町の「いこいの村 磯波風」で開催される予定です。

 北陸合同バイオシンポジウムでは、討論主題を「生物資源の利活用および医農薬に関する基礎および応用研究で、最新の内容を含むもの。」として、研究の口頭発表やポスター発表が行われます。

 腸内細菌共生機構学講座のメンバーも、発表に向けて着々と準備を進めています。

印刷中の平野のポスター

ポスターの構成を練る前田さん


 私は、久々の学外での発表なので、普段なかなか会うことの出来ない参加者の方々と、ぜひとも研究に関するディスカッションが出来たら良いなと思っています。

【平野】

2017年10月31日火曜日

冬の気配を感じる時期になりました

 気象庁の記録によると先日10月30日の金沢の気温は最高気温18.4 ℃、最低気温9.0 ℃、平均気温13.8 ℃と、最低気温がこの秋で初めて10 ℃を下回り強い冷え込みとなりました。
 石川県立大学校舎の周辺や生物資源工学研究所の中庭でも紅葉がみられるようになっています。

石川県立大学正面の様子


生物資源工学研究所内にある中庭の様子


 私は一人暮らしを始めて5年目になるのですが、秋から冬にかけて鍋を食べるのが習慣になっています。この秋は、先週今年初めての一人鍋を食べました。一人で鍋をつつきながら、もうこの時期かとしみじみと思いました。
 これから寒い日がどんどん増えていくと思われます。皆さんもどうぞお体にお気を付けください。


【前田】

2017年10月24日火曜日

研究室で中間発表を行いました。

 10月18日、水曜日に腸内細菌共生機構学講座の研究室で学生の中間発表を行いました。学部4年生の藤澤君、修士1年の太田、平野、前田に加えて、研究室に実験にいらしている修士2年の河田さんが研究の背景や実験の進捗状況をスライドにまとめて発表しました。

発表を行う4回生の藤澤さん

発表を行う修士2年の河田さん

発表を行う私・太田(修士1年)

発表を行う修士2年の平野さん

発表を行う修士2年の前田君


 発表では、他の学生の実験の詳細な背景を知ることができました。それぞれの学生の発表の後は質疑応答の時間が設けられ、背景に関する質問や実験に関するディスカッションが活発に行われました。私たちは隔週で進捗報告会を行っていますが、中間発表を通して全学生メンバーの実験の背景をもう一度おさらいし、課題を洗い出すことが出来ました。
 また、スライドの作り方や発表中の話し方など、卒論・修論発表に重要なテクニックについても議論が行われました。私は背景について調べた結果、研究のストーリーから外れた内容まで話してしまい、聴衆を混乱させてしまいました。今後の学会や来年度の修論発表では研究の流れに沿って話すことができるように改善したいです。

【太田】

2017年10月17日火曜日

阪中助教が日本乳酸菌学会2017年度大会において、若手優秀発表賞を受賞しました

 寄附講座助教の阪中幹祥先生が日本乳酸菌学会2017年度大会において、若手優秀発表賞を受賞しました。
 この大会は、福岡県宗像市にて、7月10日・11日に開催されたものです。
 宗像市は今年7月に”「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群”として沖ノ島等が世界遺産に登録されたことでも話題になりましたね。

 阪中先生は、「ビフィズス菌におけるgalacto-N-biose/lacto-N-biose Iトランスポーターの多様性解析:母乳オリゴ糖lacto-N-tetraoseの取込みに寄与するアミノ酸配列の発見」という演題で発表されました。

   
賞状を持つ阪中先生


 また、腸内細菌共生機構学講座は10月1日をもって五年目を迎えました。今後も、今回のような良い報告ができるように研究室一同、研究活動に励んでいきたいと思います。

 阪中先生、おめでとうございました!

【平野】

2017年10月10日火曜日

腸内細菌共生機構学講座に配属された生産科学科3年生の下川ひろみさんが実験を始めました

 腸内細菌共生機構学講座に配属された生産科学科の下川ひろみさんが研究室に来て実験を始めました。

実験中の下川さんの様子


 下川さんの趣味は写真撮影で、自分のバイト代で一眼レフを購入して、旅行に行った際にはたくさん写真を撮るとのことでした。
 今年の8月にはボランティアのプログラムで2週間にわたってベトナムとカンボジアに行っていて、その合間に観光も行い写真をたくさん撮ることができたそうです。



カンボジアのアンコールワット遺跡群にあるアンコールワット

 研究室でも活動の記録を残すために写真を撮る機会があるのでぜひともその腕を存分に振るっていただきたいです。今後の研究室での生活で下川さんに意気込みを聞いたところ「わからないことだらけだと思うので、積極的に質問をしてたくさん学びたい」ということでした。
【前田】

2017年10月4日水曜日

卒業生の奈良さんが研究室に遊びに来ました。

 2017年9月23日、土曜日に腸内細菌共生機構学講座の卒業生である奈良さんが研究室に遊びに来てくださいました。奈良さんは毎週の研究室のブログの更新を2年間、一人で担当されていた先輩です。
 奈良さんに久しぶりに会えるということで、私も一足遅く研究室に来ましたが、奈良さんは既に栗原先生、杉山さんと次に投稿する論文についてディスカッションを行っていました。


次に投稿する論文のデータについて
ディスカッションしている奈良さんと杉山さん


 また、卒業後に投稿された、奈良さんの名前が共著者として載っている論文と記念写真を撮っていました。論文に名前が載ったことについて、奈良さんは「大学4年の時から自分の研究内容を国際誌で発表することが夢で、この夢が叶って本当に嬉しいです。」と仰っていました。

論文と記念写真を撮る奈良さん

 ひと段落した後は栗原先生や私たちと近況について語り合いました。新天地で様々な変化がありつつも、そのことを話す奈良さんは元気そうでした。久しぶりに先輩に会うことができて嬉しかったです。

【太田】

2017年9月26日火曜日

腸内細菌共生機構学講座(IFO)主催のシンポジウム「北陸の微生物研究」を行いました

 8月31日に腸内細菌共生機構学講座(IFO)主催のシンポジウム「北陸の微生物研究」を金沢 東急ホテルで行いました。当日は腸内細菌共生機構学講座のメンバーで会場の設営の一部から受付、シンポジウム全体の進行を行いました。私・前田もポスター発表だけでなく会場の設営や会場の様子を写真に記録する係などを行いました。

受付の様子

シンポジウム開始直前の会場の様子

シンポジウム開始のアナウンスを行う阪中先生
(腸内細菌共生機構学講座)

挨拶を行われる熊谷英彦学長(石川県立大学)

 シンポジウムでは多くの先生方の非常に興味深い講演をお聞きすることができ、貴重な経験となりました。

「大腸菌を用いたベンジルイソキノリンアルカロイド生産系の構築」
という演題でご講演いただいた中川明先生(石川県立大学)

「天然物生合成研究に見出したペプチド結合形成を触媒する新規微生物酵素」
という演題でご講演いただいた濱野吉十先生(福井県立大学)

特別講演1「動植物の酵素工学 -微生物とどう違うか-」
を行われた浅野泰久先生(富山県立大学)

「腸内細菌叢のdysbiosisと肝発癌」
という演題でご講演いただいた飯田宗穂先生(金沢大学)

「ビフィズス菌におけるヒト母乳オリゴ糖の利用戦略」
という演題で講演を行った阪中幹祥先生(腸内細菌共生機構学講座)

「腸内細菌最優勢種を用いた腸内細菌叢の機能制御」
という演題で講演を行った栗原新先生(腸内細菌共生機構学講座)

特別講演2「バイオテクノロジーの最新潮流2017」
を行われた宮田満様(日経BP / (株)宮田総研)


 また、ポスター発表の会場は片側がガラス張りになっており、香林坊の街並みを一望することができました。私は学校外でポスター発表を行ったのは初めてで心配だったのですが、本番の会場では適度にリラックスして発表をすることができました。

ポスター会場の様子

ポスター会場からの景色


 シンポジウムの口頭、ポスター発表の終了後には立食形式で懇親会を行いました。私も多くの先生方や石川県立大学以外の学生さん達と気軽にお話しすることができました。懇親会の会場の壁にはポスター発表で使用したポスターが貼られており、食事をしながらのディスカッションも行われていました。

懇親会の様子

 会場のメインスクリーンは外部から取り寄せ、自分たちで設営を行いました。大きなスクリーンで先生方のご講演を聴くことが出来てとても良かったです。

スクリーンの骨組み

スクリーン設営中

210型の大きなスクリーンです。




【前田】

2017年9月19日火曜日

文献ゼミの2017年度後半戦がスタートしました

9月に入り、2017年度も後半を迎えようとしています。
以前のブログ記事でも紹介したように、腸内細菌共生機構学講座では、二週間に一度の頻度で文献紹介ゼミを行っています。
一人あたり一年間で二回担当することになっているのですが、この文献紹介ゼミも後半戦がスタートしました。

9月14日の文献紹介ゼミで、研究員の杉山友太さんが「Variation in Microbiome LPS Immunogenicity Contributes to Autoimmunity in Humans.(腸内細菌叢のリポ多糖は様々な強さの免疫原性を持ち、このリポ多糖の組成がヒトの自己免疫異常に寄与する)」を紹介しました。

プレゼンテーション中の杉山研究員


この文献は「衛生仮説」と腸内細菌叢に注目したものです。
衛生仮説では、幼少期に衛生状態があまりに良い環境で過ごすと、免疫系の正常な発達が阻まれ、自己免疫疾患になりやすくなると言われています。

Espoo (フィンランド)、Tartu (エストニア) および Petrozavodsk (ロシア)の3つの町では、住民の遺伝的背景がよく似ているにも関わらず、自己免疫疾患の発症率Petrozavodsk (ロシア)と比較して、Espoo (フィンランド)・Tartu (エストニア)では非常に高い(人口比で数倍以上)ことが知られています。

この文献では、この違いが3つの町の乳児の腸内細菌叢の違いによるものではないかと仮定して研究を進めました。

この結果、Espoo (フィンランド)・Tartu (エストニア)では、Petrozavodsk (ロシア)と比較して、Bacteroides属細菌が非常に多く検出されることがわかりました。また、Petrozavodsk (ロシア)ではBifidobacterium属細菌が、Espoo (フィンランド)、・Tartu (エストニア)と比較してやや多いという結果が出ていました。

著者らは、衛生状態のよいEspoo (フィンランド)、Tartu (エストニア)の乳児糞便から多く検出されるBacteroides属細菌から出て来るリポ多糖は、免疫を刺激する効果が低いために、免疫を刺激する効果の高い大腸菌の仲間(大人の腸内細菌叢には少ないですが、乳児の腸内細菌叢にはかなり多いことが知られています。)のリポ多糖による宿主への免疫刺激を弱めてしまう結果、宿主の免疫が未成熟になってしまい、自己免疫疾患が起こりやすくなると主張しています。Petrozavodsk (ロシア)の乳児の糞便では、このBacteroides属細菌が少なく、大腸菌の仲間のリポ多糖による免疫刺激がよりダイレクトに乳児に伝わることによって免疫の成熟がより促進され、自己免疫疾患が起こりにくくなるということのようです。

この文献の中で免疫刺激を弱めるリポ多糖を出すBacteroides属細菌の代表として扱われていたBacteroides doreiですが、なんと、栗原先生の共同研究者の松本先生のお知り合いのマサピヨさんから世界で初めて単離された菌種とのことで、皆さん驚いていました。

【平野】

2017年9月12日火曜日

「東京慈恵会医科大学 学外共同シンポジウム 第16回 ポリアミンと核酸の共進化」で修士1年生の太田が発表し、優秀発表者賞を受賞しました。

 9月9日、土曜日に東京慈恵会医科大学にて学外共同シンポジウム 「第16回 ポリアミンと核酸の共進化」が開催されました。会場のF棟は昭和初期に建設された歴史深い建造物であり、非常に趣深い会場でした。

 発表は4セッションに分けられ、各セッションの座長は学生が務めました。
 私は初めての口頭発表で緊張していた上に、思った以上に余裕のない移動スケジュールを組んでしまったため、スーツ姿に汗を滲ませながらの発表開始となりました。発表は時間を最大限に使って説明することができ、質問にも自分なりに答えることができました。


シンポジウムの要旨集

 発表の後には近くの会場(ディナギャンドス)で懇親会も行われました。普段話すことができない慈恵医大、千葉大、千葉工大を始めとする大学の先生方や学生とお酒を飲みながらお話しすることができました。懇親会は本当にいい雰囲気で、研究や実験に関する情報交換や楽しいお話で終盤まで盛り上がっていました。

 また、最後には優秀発表者賞、優秀質問者賞が発表され、私は今回、優秀発表者賞を受賞することができました。

東京慈恵会医科大学 学長の松藤千弥先生と



 今回は素晴らしい会場で貴重な経験をさせて頂きました。今後も学会発表や学術論文でのできるよう、研究を頑張りたいと思います。
【太田】

2017年9月5日火曜日

修士一年生の太田さんが「東京慈恵会医科大学 学外共同シンポジウム 第16回 ポリアミンと核酸の共進化」に向けて準備を行っています。

 修士一年生の太田宏一さんが、「東京慈恵会医科大学 学外共同シンポジウム 第16回 ポリアミンと核酸の共進化」への参加に向けて準備を行っています。
 この会議は、9月11日に東京慈恵会医科大学にて開催され、ポリアミンに関する研究を行う研究者や学生が集まり、研究の情報交換や交流が行われる予定とのことです。
学生の参加者を中心に研究の口頭発表も行われ、そこで太田さんも発表を予定しています。



口頭発表の練習に励む太田さん



 学外の発表について太田さんはこれまでに、ポスター発表の経験はありますが、口頭発表を行うのは初めてとのことです。
 口頭発表では、発表時間が限られますが、その中でも自分の研究をより知ってもらえるようにと、気を引き締めて準備に取り組んでいました。
太田さん、応援しています!

【平野】

2017年8月29日火曜日

石川県立大学 腸内細菌共生機構学寄附講座(IFO)シンポジウム 「北陸の微生物研究」の準備をしています

 8月3日更新のブログでもお知らせいたしましたが、8月31日(木)午後1時から腸内細菌共生機構学講座(IFO)シンポジウム「北陸の微生物研究」が金沢 東急ホテルで開催されます。
 私自身もポスター発表を行うために準備をしています。私は今回のシンポジウムが初めての学校外での発表となるため、今から緊張しています。




 腸内細菌共生機構学講座のメンバーはシンポジウム中のサポートを務めさせていただきます。当日何かお困りのことがございましたらお気軽にお声がけください。皆様にお会いできることを楽しみにしております。
【前田】

2017年8月22日火曜日

新しいスターラーを導入しました。

 腸内細菌共生機構学寄附講座は間もなく開設4年目を迎え、開設当初に購入した機器の中には不具合が生じるものも出てきました。その中の一つにマグネティックスターラーが挙げられます。
 マグネティックスターラー(以下スターラー)とは、磁力を利用して撹拌子を回転させることで液体を混ぜる装置です。水に試薬を溶かす際に、スターラーを使うことで効率よく試薬を溶かし、撹拌することができる非常に便利な装置で、私たちの研究室にとってスターラーは無くてはならない機器です。
 このスターラーが不具合を起こすようになったため、研究室で新たなスターラーを購入することになり、先日購入したスターラーが届き、研究室に設置されました。


新品のスターラー


ビーカーに水を入れて撹拌する様子

 
 新たに導入されたスターラーはビーカーを乗せる天板を550℃まで温めることができ、液体を撹拌しながら温めることができるという優れものです!従来、スターラーを用いて撹拌しても水に溶けきらない試薬は、ウォーターバスを使って水の温度を上げてスターラーで撹拌していました。この作業はとても大変で、時間がかかってしまいます。しかし、新しいスターラーを使えば、水を温めながら、同時に撹拌もすることができるため、非常に便利です。今後はこのスターラーが実験で大活躍することでしょう。

【太田】