新年あけましておめでとうございます。
今年に入ってから私・奈良が最初に行った実験は「腸内細菌60種のグリセロールストックの入った96 well plate(以下“腸内細菌のプレート”とします。)作製する」というヘビーな実験でした。
2015年8月下旬に作製した20枚の腸内細菌のプレートを全て使い切りましたので、今回新たに16枚の腸内細菌のプレートを作製しました。このプレートの上にある小さな穴(ウェルと呼びます)一つ一つに腸内細菌60種それぞれの培養液が入っており、これを種として培養を行う事で一斉に腸内細菌の培養実験を行うことが出来ます。
この腸内細菌のプレートは私たち研究室メンバーだけでなく、他の大学の研究室の方々も使用します。多くの方々の研究に関わる重要な腸内細菌のプレートであるため、前回は栗原先生にプレート作製をお願いしていました。しかし今回はこの重要な仕事を私に任せていただきました。このプレートを種として一度、菌を生育させ、すべてのウェルの菌についてその遺伝子を調べることで(16S rDNAシーケンスを行うことで)、確かに目的の菌が汚染無しに入っているかを確認し、今後の実験に使います。
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1菌種ごとの培養液が入った容器
(緑、赤、青色のシールに黒色で番号が記載されている容器です) |
最も大変な作業は、60種類の菌の培養液にグリセロール(プレートを-80℃の冷凍庫で保存するときに、細菌にストレスがかかり、死ぬのを防ぐために入れる保護剤です。)を加え、これを16枚の96 well plateに分注する作業でした。
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96 deep well plate(左手で持っているプレートです。) |
まず、1菌種ごとの培養液が入った容器全部で60個あります。)にグリセロールを加え、その液を96 deep well plate(96 well plateに比べてウェルの深さが深いプレートです。)に移していきます。この際、プレート上にある96個ある穴のうち、あらかじめ私が決めた場所のウェルに目的の腸内細菌の培養液を確実に入れなければなりません。腸内細菌の配置が書かれた紙を何度も確認しながら、慎重に作業を行いました。
次に96 deep well plateに入った培養液を16枚の96 well plateに分注しました。に入った培養液を16枚の96 well plate(嫌気チャンバー内の床一面に置いてあるプレートです。)に分注している様子。)
腸内細菌の種類と作製したプレートの枚数が多いので、すべての作業を終えるのに5時間かかりました。
37℃、高湿度な嫌気チャンバーに5時間手を入れて作業するのは本当に辛かったですが、食品微生物学研究室の修士1年の河田君に作業のお手伝いをしていただいたお陰でミスなく終えることができました。(60菌種分の培養液を96 deep well plateに入れていく際に私が間違えた場所に入れないよう確認する仕事や準備と片づけを手伝ってもらい、さらに「疲れた」と弱音を吐く私をずっと励ましてくれました。)
河田君、本当にありがとうございました。