今日は、2017年度に入り二回目の文献紹介が行われ、修士1年生の太田さんが「The Fumarate Reductase of Bacteroides thetaiotaomicron, unlike That of Escherichia coli, Is Configured so that It Does Not Generate Reactive Oxygen Species.」を紹介しました。
プレゼンテーション中の太田さん |
生体内で起こる様々な酸化還元反応で電子が発生しますが、電子が発生する場所の近くに分子酸素が存在すると、活性酸素種が発生してしまいます。活性酸素種はDNAに損傷を与えるなどして生体に様々な悪影響を与えますが、好気条件でもよく生育する大腸菌などの細菌では活性酸素種に対する防御機構が発達しています。一方、ヒトの腸内で8番目に多いことが報告されているBacteroides thetaiotaomicronは嫌気性の細菌で、通常の酸素濃度で培養した場合は生育がストップしてしまうことから、その活性酸素種に対する防御機構は、あまり強くないことが予想され、活性酸素種そのものを増加させない仕組みを細胞内に持っている可能性が考えられました。
この論文では、Bacteroides thetaiotaomicronが嫌気性の腸内でエネルギーを得るために行っている嫌気呼吸に使われている重要な酵素である「フマル酸レダクターゼ」は、大腸菌のフマル酸レダクターゼと違って、活性酸素種を発生させないような仕組みを持つことが説明されていました。
フマル酸レダクターゼが活性酸素種を出さないことはわかったのですが、Bacteroides thetaiotaomicronはかなり活性酸素種を出すことも示されており、これが何に由来するかは示されておらず、少し不満の残る論文でした。
来週は私・平野が文献紹介を行う予定なので、準備を進めていきたいと思います。
【平野】