2015年9月29日火曜日

2015年9月10日(木)第4回 腸内細菌共生機構学特別セミナー「腸内におけるホストと腸内細菌の相互作用」を行いました。

 9月10日に第4回 腸内細菌共生機構学特別セミナー「腸内におけるホストと腸内細菌の相互作用」を行いました。今回のセミナーでは近畿大学の芦田久先生と、千葉大学の川島博人先生に講演していただきました。また、石川県立大学から応用微生物学研究室の加藤紀彦先生、腸内細菌共生機構学講座からは片山先生と栗原先生も発表を行いました。今回の腸内細菌共生機構学特別セミナーでは過去最多の人数の先生が発表を行いました。

芦田先生は「腸内における共生にかかわるビフィズス菌の酵素群」について、

山本先生と芦田先生の質疑応答


川島先生には「大腸上皮細胞特異的オートファジー欠損マウスにおける腸内フローラの変化と大腸炎増悪化」についての発表をしていただきました。

講演される川島先生



 私の研究テーマと同じ腸内細菌に関するご講演でしたが、芦田先生の糖の代謝に関わる酵素のお話、川島先生のホスト側の免疫のお話は私の研究とは違う分野でした。普段勉強していない研究に関する発表を聞くことで、大きな刺激を受けました。

 セミナー後に懇親会を行いました。

学長の熊谷先生と応用微生物学研究室の先生方や学生も懇親会に参加され、とても賑やかな飲み会になりました


 川島先生は過去に静岡県立大学で勤務されておられた時に、数年間静岡市に住んでいらっしゃったこともあり、静岡県の特産物であるカツオやしらす、サクラエビの話で大いに盛り上がりました。

2015年9月15日火曜日

2015年9月5日~9月6日に能登へ研究室旅行に行きました。(旅行2日目)

 今回は研究室旅行2日目について書きます。2日目は、「のと海洋ふれあいセンター」に行きました。のと海洋ふれあいセンターには魚を飼育する展示室とマリンシアターがあります。
展示室では九十九湾に生育するサザエやうに、ナマコなどを直接触ることができました。

いけすに長時間いたので、おいしそうではありませんが、活発に動いていたサザエ。

 
 さらに、展示室には九十九湾の海中にある海藻類の密集地「海中林」を再現した水槽がありました。

魚の顔真似をする谷内君。

 マリンシアターでは実際の能登の海中を3D(立体)映像で見ることができました。子供たちは目の前まで迫ってくる魚を捕まえようと一生懸命手を動かしながら映像を見ていました
。一方、大人の中には前日に夜遅くまで行われたディスカッションの疲れが取れないのか、眠そうにしながら映像を見ている人がいました。


3D眼鏡をかけてカッコよく決めた集合写真。シアタールームは貸し切りでした。


 本来ならば、のと海洋ふれあいセンターの周辺にある海で水中眼鏡を用いて実際に海中の魚を観察する予定でしたが激しい雨が降っていたのでできませんでした。昨年の研究室旅行と同様、今年も天候に恵まれず残念でしたが、2日間でリフレッシュできたので良かったです。

2015年9月8日火曜日

2015年9月5日~9月6日に能登半島へ研究室旅行に行きました。(旅行1日目)

 そろそろ嫌気チャンバーのネタも飽きてきたと思いますので、研究室旅行について書こうと思います。今週は旅行1日目について書きます。今年の研究室旅行の場所は能登半島でした。研究室メンバーだけでなく、その家族や昨年度腸内細菌共生機構学講座で勤務していた研究員の後藤さんも旅行に参加したので、とても賑やかな旅行となりました。

 今回の旅行先である能登半島は2011年に世界農業遺産に登録された地域であり、NHK連続ドラマ小説「まれ」や映画の舞台にもなっています。能登半島は大学の所在地と同じ石川県内にありますが、大学から能登半島にある目的地までの距離は約150キロもあるため非常に遠く、車で行くと約3時間もかかりました。
 
旅行1日目は2つのイベントがありました。まずは能登半島の先端付近にある九十九湾内を約30分で一周する遊覧船に乗りました。

遊覧船前での集合写真

 この遊覧船は湾内を周るだけでなく、途中で4つのいけすが集まっている場所に寄ります。ここではいけすの中にいる能登半島の魚やタコに餌をあげることができました。かぼちゃとスイカをいけすに投げると、数十匹の魚が勢いよく餌を取り合う姿を見ることができました。魚がかぼちゃとスイカを食べるとは驚きでした。魚が餌を取り合う様子はとても面白く、大人も子供も夢中になって餌を投げていました。



 
 もう一つのイベントは宿泊した民宿での夕食です能登半島は魚がおいしいことで有名なので、漁港の目の前にある宿に泊まることを決めました。

夕食前の集合写真。皆、笑顔です。

 ネットの口コミでは夕飯の刺身が特に新鮮でおいしい魚を食べることができると書いてあったため楽しみにしていましたが、能登半島では取れないはずのサーモンとカツオの炙りが中心となった刺身が出るなど、地物を使っている気配が薄く、とても残念でした。

 その後、部屋での飲み会ではおいしい石川のお酒とともに、ディスカッションで大いに盛り上がりました。

 次回のブログでは旅行2日目について書きます!

2015年9月1日火曜日

腸内細菌約60種のグリセロールストックを96 well plate上に作製しました。

 2015年8月26日から28日にかけて腸内細菌約60種の培養液の入った96 well plateを20枚作製しました。
 ヒトの腸内には一人当たり100種類以上の腸内細菌が存在しており、さまざまな代謝産物を通じて私たちの健康に影響を与えています(Nature 514: 181-18(2014)、Cell 115: 1451-1463(2013))。この影響を調べるためには、主要な腸内細菌について研究する必要があります。ヒトの腸内細菌のうち最優勢の上位56種についてはすでに学術論文で報告があります(Nature, 464:59-65 (2010))。腸内細菌共生機構学研究室ではこれらの腸内細菌について入手可能なものすべてをコレクションしています。腸内細菌の培地の多くはとても複雑な作製法をもつものが多く、培地を作るだけで一日仕事になることも多いです。そこで、作製が容易なGAM培地(Gifu anaerobic medium)に生育する約40種をこれまでに確認しました。
 多くの研究室では、-80℃で凍らせて細菌を保存しています。しかし、菌の培養液をそのまま凍らせると菌が死んでしまいます。そこで保護剤としてグリセロールを培養液に混ぜた上で-80℃の冷凍庫に入れ、保存します。(この方法は微生物の保存法としてよく用いられます。)この凍らせた培養液のことをグリセロールストックと呼びます。これまでの実験では、グリセロールストックから試験管に一つ一つ植菌し、実験を始めていましたが、数10種類の菌をグリセロールストックから植菌するのは1時間以上かかる上に、グリセロールストックの一部が凍結融解されるため、劣化する恐れがありました。そこで、96 well plate(写真1)の中でグリセロールストックを作って使い捨てで使えばよいと考えました。

写真1:96 well plate。96個の穴が開いています。



そうすれば、植菌スタンプ(写真2)

写真2:植菌スタンプ。96本の針がついています。


を用いて、一度にたくさんの腸内細菌を植菌することができます(写真3)。

写真3:培養液のついた針を、96 deep-well plateに入った液体培地に触れさせると
最大96種の菌を約3秒で植菌できます


 また、96 well platを使用すれば生育の度合いを知るための濁度の測定も一度にできるため実験操作がより簡便になります(写真4)。

写真4:最大96 well 分の濁度を約10秒で測定できます


 今回グリセロールストックをした腸内細菌は、GAM培地に生育する主要な腸内細菌と、乳酸菌、ビフィズス菌などです。これら約60種類の菌の培養液にグリセロールを加え、これを20枚の96 well plateに分注しました。植菌や分注などコンタミネーションの恐れがある操作はすべて栗原先生が嫌気チャンバー内で行いました(写真5)。
写真5: 96 deep-well plate内の培養液をマルチチャンネルピペットマンで
96 well plateに分注していく栗原先生


 腸内細菌の種類と作製したプレートの枚数が多かったため、これらの実験操作はかなりの時間がかかりました。(途中約5分の休憩を3,4回挟みましたが、14時から開始した作業が終わったのは18時でした。)さらに前日まで嫌気チャンバー内の湿度はいつもより高めに設定しており、作業当日の嫌気チャンバー内の湿度が高かったため約4時間嫌気チャンバー内に手を入れていた栗原先生は今までにないぐらい汗だくでした。(この時嫌気チャンバー内の湿度は約70%を超えていました)
(写真6)

写真6:完成した20枚の96 well plate。嫌気チャンバー内の床を覆い尽くすほどの枚数です。



 また、このような長時間、嫌気チャンバーに手を入れて実験をしている人を隣で見たのは初めてでした。これからこれを使ってたくさんの実験を行う予定です!