2017年9月26日火曜日

腸内細菌共生機構学講座(IFO)主催のシンポジウム「北陸の微生物研究」を行いました

 8月31日に腸内細菌共生機構学講座(IFO)主催のシンポジウム「北陸の微生物研究」を金沢 東急ホテルで行いました。当日は腸内細菌共生機構学講座のメンバーで会場の設営の一部から受付、シンポジウム全体の進行を行いました。私・前田もポスター発表だけでなく会場の設営や会場の様子を写真に記録する係などを行いました。

受付の様子

シンポジウム開始直前の会場の様子

シンポジウム開始のアナウンスを行う阪中先生
(腸内細菌共生機構学講座)

挨拶を行われる熊谷英彦学長(石川県立大学)

 シンポジウムでは多くの先生方の非常に興味深い講演をお聞きすることができ、貴重な経験となりました。

「大腸菌を用いたベンジルイソキノリンアルカロイド生産系の構築」
という演題でご講演いただいた中川明先生(石川県立大学)

「天然物生合成研究に見出したペプチド結合形成を触媒する新規微生物酵素」
という演題でご講演いただいた濱野吉十先生(福井県立大学)

特別講演1「動植物の酵素工学 -微生物とどう違うか-」
を行われた浅野泰久先生(富山県立大学)

「腸内細菌叢のdysbiosisと肝発癌」
という演題でご講演いただいた飯田宗穂先生(金沢大学)

「ビフィズス菌におけるヒト母乳オリゴ糖の利用戦略」
という演題で講演を行った阪中幹祥先生(腸内細菌共生機構学講座)

「腸内細菌最優勢種を用いた腸内細菌叢の機能制御」
という演題で講演を行った栗原新先生(腸内細菌共生機構学講座)

特別講演2「バイオテクノロジーの最新潮流2017」
を行われた宮田満様(日経BP / (株)宮田総研)


 また、ポスター発表の会場は片側がガラス張りになっており、香林坊の街並みを一望することができました。私は学校外でポスター発表を行ったのは初めてで心配だったのですが、本番の会場では適度にリラックスして発表をすることができました。

ポスター会場の様子

ポスター会場からの景色


 シンポジウムの口頭、ポスター発表の終了後には立食形式で懇親会を行いました。私も多くの先生方や石川県立大学以外の学生さん達と気軽にお話しすることができました。懇親会の会場の壁にはポスター発表で使用したポスターが貼られており、食事をしながらのディスカッションも行われていました。

懇親会の様子

 会場のメインスクリーンは外部から取り寄せ、自分たちで設営を行いました。大きなスクリーンで先生方のご講演を聴くことが出来てとても良かったです。

スクリーンの骨組み

スクリーン設営中

210型の大きなスクリーンです。




【前田】

2017年9月19日火曜日

文献ゼミの2017年度後半戦がスタートしました

9月に入り、2017年度も後半を迎えようとしています。
以前のブログ記事でも紹介したように、腸内細菌共生機構学講座では、二週間に一度の頻度で文献紹介ゼミを行っています。
一人あたり一年間で二回担当することになっているのですが、この文献紹介ゼミも後半戦がスタートしました。

9月14日の文献紹介ゼミで、研究員の杉山友太さんが「Variation in Microbiome LPS Immunogenicity Contributes to Autoimmunity in Humans.(腸内細菌叢のリポ多糖は様々な強さの免疫原性を持ち、このリポ多糖の組成がヒトの自己免疫異常に寄与する)」を紹介しました。

プレゼンテーション中の杉山研究員


この文献は「衛生仮説」と腸内細菌叢に注目したものです。
衛生仮説では、幼少期に衛生状態があまりに良い環境で過ごすと、免疫系の正常な発達が阻まれ、自己免疫疾患になりやすくなると言われています。

Espoo (フィンランド)、Tartu (エストニア) および Petrozavodsk (ロシア)の3つの町では、住民の遺伝的背景がよく似ているにも関わらず、自己免疫疾患の発症率Petrozavodsk (ロシア)と比較して、Espoo (フィンランド)・Tartu (エストニア)では非常に高い(人口比で数倍以上)ことが知られています。

この文献では、この違いが3つの町の乳児の腸内細菌叢の違いによるものではないかと仮定して研究を進めました。

この結果、Espoo (フィンランド)・Tartu (エストニア)では、Petrozavodsk (ロシア)と比較して、Bacteroides属細菌が非常に多く検出されることがわかりました。また、Petrozavodsk (ロシア)ではBifidobacterium属細菌が、Espoo (フィンランド)、・Tartu (エストニア)と比較してやや多いという結果が出ていました。

著者らは、衛生状態のよいEspoo (フィンランド)、Tartu (エストニア)の乳児糞便から多く検出されるBacteroides属細菌から出て来るリポ多糖は、免疫を刺激する効果が低いために、免疫を刺激する効果の高い大腸菌の仲間(大人の腸内細菌叢には少ないですが、乳児の腸内細菌叢にはかなり多いことが知られています。)のリポ多糖による宿主への免疫刺激を弱めてしまう結果、宿主の免疫が未成熟になってしまい、自己免疫疾患が起こりやすくなると主張しています。Petrozavodsk (ロシア)の乳児の糞便では、このBacteroides属細菌が少なく、大腸菌の仲間のリポ多糖による免疫刺激がよりダイレクトに乳児に伝わることによって免疫の成熟がより促進され、自己免疫疾患が起こりにくくなるということのようです。

この文献の中で免疫刺激を弱めるリポ多糖を出すBacteroides属細菌の代表として扱われていたBacteroides doreiですが、なんと、栗原先生の共同研究者の松本先生のお知り合いのマサピヨさんから世界で初めて単離された菌種とのことで、皆さん驚いていました。

【平野】

2017年9月12日火曜日

「東京慈恵会医科大学 学外共同シンポジウム 第16回 ポリアミンと核酸の共進化」で修士1年生の太田が発表し、優秀発表者賞を受賞しました。

 9月9日、土曜日に東京慈恵会医科大学にて学外共同シンポジウム 「第16回 ポリアミンと核酸の共進化」が開催されました。会場のF棟は昭和初期に建設された歴史深い建造物であり、非常に趣深い会場でした。

 発表は4セッションに分けられ、各セッションの座長は学生が務めました。
 私は初めての口頭発表で緊張していた上に、思った以上に余裕のない移動スケジュールを組んでしまったため、スーツ姿に汗を滲ませながらの発表開始となりました。発表は時間を最大限に使って説明することができ、質問にも自分なりに答えることができました。


シンポジウムの要旨集

 発表の後には近くの会場(ディナギャンドス)で懇親会も行われました。普段話すことができない慈恵医大、千葉大、千葉工大を始めとする大学の先生方や学生とお酒を飲みながらお話しすることができました。懇親会は本当にいい雰囲気で、研究や実験に関する情報交換や楽しいお話で終盤まで盛り上がっていました。

 また、最後には優秀発表者賞、優秀質問者賞が発表され、私は今回、優秀発表者賞を受賞することができました。

東京慈恵会医科大学 学長の松藤千弥先生と



 今回は素晴らしい会場で貴重な経験をさせて頂きました。今後も学会発表や学術論文でのできるよう、研究を頑張りたいと思います。
【太田】

2017年9月5日火曜日

修士一年生の太田さんが「東京慈恵会医科大学 学外共同シンポジウム 第16回 ポリアミンと核酸の共進化」に向けて準備を行っています。

 修士一年生の太田宏一さんが、「東京慈恵会医科大学 学外共同シンポジウム 第16回 ポリアミンと核酸の共進化」への参加に向けて準備を行っています。
 この会議は、9月11日に東京慈恵会医科大学にて開催され、ポリアミンに関する研究を行う研究者や学生が集まり、研究の情報交換や交流が行われる予定とのことです。
学生の参加者を中心に研究の口頭発表も行われ、そこで太田さんも発表を予定しています。



口頭発表の練習に励む太田さん



 学外の発表について太田さんはこれまでに、ポスター発表の経験はありますが、口頭発表を行うのは初めてとのことです。
 口頭発表では、発表時間が限られますが、その中でも自分の研究をより知ってもらえるようにと、気を引き締めて準備に取り組んでいました。
太田さん、応援しています!

【平野】