2016年2月23日火曜日

2016年1月29日(金)第5回腸内細菌共生機構学特別セミナー「腸内細菌による宿主への定着機構解明の最前線」を行いました。

 1月29日(金)第5回腸内細菌共生機構学特別セミナー「腸内細菌による宿主への定着機構解明の最前線」を行い、お二人の先生をお招きしました。
 西山先生には、乳酸菌(腸内細菌の一種)がヒトの腸内に定着するためのタンパク質に関するご講演をして頂き、自分の研究とは違ったアプローチで「宿主と腸内細菌の関わり」について勉強することができました。


乳酸菌の宿主腸粘膜への接着に関わる細胞表層タンパク質の機能解析」
という演題で講演される西山先生


 次に、梅崎良則先生に「腸内細菌と宿主の相互作用:無菌動物の通常化からセグメント細菌単独定着系における解析」という演題で講演していただきました。



「腸内細菌と宿主の相互作用:無菌動物の通常化から
セグメント細菌単独定着系における解析」という演題で講演される梅崎先生


 無菌マウスに通常のマウスの腸内細菌を投与することで、宿主の免疫反応を促進する細胞を腸内細菌が活性化することを実証した研究内容や、マウスの腸内細菌の一種のセグメント細菌がマウスの免疫反応を促進させるメカニズムについて分かりやすくお話してくださいました。

 セミナー後には懇親会を行いました。

懇親会の会場での集合写真

 
 今回のセミナーと同様に懇親会でも、お二人のご講演に関する質疑応答が活発に行われました。懇親会の会場は、グルメサイト“食べログ”の金沢の居酒屋ランキングで1位(2016年2月現在)のお店「味楽 ゆめり」でした。味楽 ゆめりでは石川県 能登半島で獲れる新鮮な魚の刺身(ぶりやタラなど)を食べることができて、大満足でした。

2016年2月16日火曜日

特殊業務従事者健康診断に行きました

 2月9日に研究室メンバーで「特殊業務従事者健康診断」に行きました。この健康診断はいくつかの化学物質を使う研究者の健康状態を調べるものです。私たちは年に2回、実験によって健康に影響が出ていないことを確認する目的で、この健康診断に行かなければなりません。毎回この検査では、検尿と握力測定、脚気の診断、採血を行います。

 前回の検査で私・奈良は1つの疑問を持ちました。それは、「なぜ採血後に注射をした箇所に貼るシールの大きさは受診者によって異なるか?」という疑問です。

 インターネットで調べても答えが分からなかったので、この疑問を解決するために、看護師の方に質問しました。看護師の方によると、人によって採血しやすい血管がある場所が異なり、「肘の内側にある血管のうち、手のひらを上に向けたときに小指側にある血管」は軽い衝撃を受けただけで内出血しやすいので、ここから採血したときには、血管を保護するためにスポンジのついた大きいシールを貼るそうです。半年抱えていた疑問をようやく解決することができました。

 
一番上の腕が私の腕です。
私は今までこの健康診断で4回採血をしましたが、
大きいシールを貼ることになったのは今回で2回目です。


 ちなみに、今回の採血で大きいシールを貼ることになったのは研究室メンバーの中で私だけでした。また、このサイトによると、「肘の内側にある血管のうち、手のひらを上に向けたときに小指側にある血管」は「尺骨動脈」と呼ぶようです。私以外の人は「橈骨動脈」から採血されたようです。

2016年2月9日火曜日

忘れられない試薬

 私・奈良は4年生のときに、24種の腸内細菌を培養しました。それらの腸内細菌には購入元の菌株保存・分譲機関が腸内細菌ごとに推奨している培地(推奨培地)があります。24種の腸内細菌を培養するためには15種類の推奨培地(重複しているものもあったため)を作製する必要があり、その培地作製のために約50種類もの試薬を使用してきました。その中でも「イソ吉草酸」という試薬は今でも忘れられないです。忘れられない理由は、私が使用した試薬の中で一番くさかったからです。イソ吉草酸のにおいは私が実験室で使用している体育館シューズの中のにおいと似ています。




写真1:イソ吉草酸と自分の体育館シューズのにおいを比べる私
この時はあまり似ていませんでしたが、似ている時もあると思います。
おそらくその日の体育館シューズ内菌叢の違いによるものだと思います。



 調べてみると、イソ吉草酸は足の裏の汗や古い角質を細菌が分解することで発生し、足の裏のくさいにおいの原因物質となっていることが分かりました。“くさいにおい”と感じるかどうかは個人差があると思いますが、このにおいはたいていの人がくさいと思うのではないでしょうか。

 さらに、イソ吉草酸は微量でも嫌なにおいを強烈に出すという嫌な点があります。イソ吉草酸は写真のように、厳重に包装してある状態で保管されていますが、




写真2:イソ吉草酸の保管方法
イソ吉草酸は瓶のふたで密封され、袋で密封された状態で、
さらにケースによって密封されています。写真1ではケースだけを開けていますが、
体育館シューズとの比較実験が出来る程度にはにおいます。




 三重に密封された写真のような状態でもほのかにくさいにおいがします。また、においを実験室内に充満させないために、私は強力な排気機能が付いたドラフトチャンバー内でイソ吉草酸の瓶を開封しました。


写真3:イソ吉草酸の正しい扱い方
このようにドラフトチャンバー内で、試薬瓶から欲しい量のイソ吉草酸(液体)を
青色のチップに吸い取って、別の容器に移しました。青色のチップは使い捨てです。



 この後、使用済みチップをドラフトの外に出して、実験ごみ用のごみ箱に捨てなければなりません。そのためにこのチップ一瞬だけドラフトチャンバーに出しましたが、液体が残っていないはずのチップから強烈なにおいが漂いました。このにおいが実験室内に充満しないように、使用済みのチップを3重にした密封袋に入れてチップ用のごみ箱に捨てました。




写真4:イソ吉草酸が付いた実験ごみの廃棄方法
ここまで厳重に密封すれば、においは漂わなくなります。



 培地作製のために、私はイソ吉草酸以外にもさまざまなくさいにおいの試薬を使用していたので、実験室で何かくさいにおいが発生した時は、私のせいでなくても一番に私のせいだと疑われてしまいます。

2016年2月2日火曜日

4回生・白石さんの卒業論文発表の練習を行いました。

 石川県立大学を卒業するためには、卒業論文の提出と、卒業論文の内容を学科全体の学生・先生方の前で発表する「卒業論文発表(卒論発表)」を行うことの両方が必要です。約3週間後に行われる白石さんの卒論発表に向けて練習会を行いました。


発表練習の様子。研究室メンバー全員で発表を聞きました。

 
 練習後には、先生方や研究員の方にさまざまな助言を受けていました。白石さんは「いただいた助言をもとに、今よりも論理的な発表をしたい。それと、自信をもって発表できるように本番まで1日1回は発表練習をしたい!」という決意表明をしていました。

 この時期は、卒論発表練習と卒論の執筆の両方の作業を同時に進行しなければいけないので大変な時期です。私・奈良にとってもこの時期が人生で一番辛かったです。しかし、私は卒論発表&執筆を通して、研究完成に必要な要素と、大学院卒業までに私個人が克服すべきいくつか課題を見つけることができたので(そのうちの一つが文章力の向上を目指すことで、そのためにこのブログを始めました。)、卒論発表&執筆で苦労した経験は有意義だったと思います。

 白石さんにとっても、この卒業論文が有意義なものになれば良いなと思います。