2015年12月8日火曜日

新しい物質の精製実験

 自然界にはこれまでに人類が発見したことのない物質(新規化合物)がたくさんあると考えられます。私・奈良も、ある物質が新規化合物ではないかと考え、2ヶ月ほど実験をしています。この物質が新規化合物であると証明するには、この物質の化学構造を解明しなくてはなりません。物質の化学構造を解明するには、その物質を純粋なものにする必要があります。自然界の物質は、様々なものと一緒に混ざった状態にあり、化学構造の解明には適さないからです。そこで、実験室では「ある物質を純粋なものにする実験」がよく行われ、この実験のことを「精製実験」と呼んでいます。この実験には下の写真のような「カラム」という装置を使います。



自作のカラム



また、カラム内にある茶色の部分には様々な物質を結合させることのできる樹脂(以下、レジンと書きます)が入れてあります。まず精製したい物質を含む混合物をカラムに通して、精製したい物質をレジンに結合させます。この時、レジンに結合しない物質はカラムを素通りしていきますので、目的物質の精製度(純粋さの度合い)を上げることが出来ます。もちろん目的物質以外の物質の中にもレジンに結合してしまう物質がいます。そこで、次は、レジンと物質の結合を解き、カラムから溶出させるための液(溶出液)をカラムに通していきます。溶出液を工夫することで、目的物質のみを含んだ溶液を得ることが出来ます。

 この実験を今年の10月から行っていますがまだ物質の精製には成功していません。溶出液を流している時に溶出液が通るチューブが破れ、精製したい物質を含む溶出液を実験台一面にこぼす、カラムに溶出液を流したまましばらく放置していたら、カラムに液体が流れずにカラムを枯らす(カラムの中のレジンは溶出液に浸った状態にしておかなくてはならないのですが、溶出液をうまくカラムに送れなくなった結果、この液体がなくなり、干上がってしまうことを「カラムが枯れる」と言います。)・・等の失敗を経て、今は写真1の3代目のカラムでの精製に挑戦をしているところです。

 今回こそは物質の精製を成功させたいです。そのためには今まで経験してきた失敗を繰り返さないように心がけようと思います。

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